沼津

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「『イラク反戦』というのは、これからの時代を生きる者にとって、ある意味では『最低限の人間的な常識』といっていいでしょう。それは今後、『この戦争はさして悲惨なものではない』といったとんでもない幻想を破り、大国の論理ではなく、生きとし生けるものの尊厳をどこまでも守り抜こうという根源の流れを形成していくのではないでしょうか。そして、『イラク戦争反対』はいま、日本を出撃拠点にした、隣国・北朝鮮への米国の先制攻撃という近未来図を絶対に許さないという『質的変化』へと向かいつつあります。限りなく広がりつつある自覚した個人の結集、怒りと悲しみの魂の運動、とりわけ若い人たちの平和への『一歩』こそが希望です。これは世界中を覆っている戦争の風景を未然に変える確かな胎動なのです。
作家・辺見庸